ゆいこの、徒然なるままに

~ ひとと自然に寄り添った暮らしを、ゆるりと ~

拝啓、いつかのスウェーデンの友だちへ

 

いつだったか、鎌倉の友だちがやっているAirbnb のホストのお手伝いをした時に、スウェーデンから来た2人組を案内をしたことがあった。

 


同い年ですぐに仲良くなり、飲みに行くことに。行きたかったお寿司屋さんは満席。仕方ない、お隣にある、赤ちょうちんがぶら下がっている居酒屋に入ってみた。

 

 

 

(あ、しまった。)

 

 

 


ナチュラルな街の代名詞 鎌倉に、こんなディープな世界があったなんて!垢抜けたカウンターだけの居酒屋に、これまた垢抜けたおじさんたちが、ぽつり、ぽつり。

 

 

ゆっくりと古い椅子に腰掛け、マスターおすすめのお酒と小料理を頼む。しばらくして、

 

「マスター、俺も英語勉強しとけばよかったよ」

「ああ、俺も外国いきてぇなぁ」

 

 

おじさんたちが、それぞれにぼやいている。

 

 

 

少し経つと、マスターが煮物(か何か)を差し出し、

「これ、隣のお客さんからです」

 

そのお客さんから一言。

「こういうもん食わせなきゃダメだよ」

 

 

それが引き金となり、


「それで、どこから来たんだ??」

「へぇ〜!スウェーデン!!スウェーデンてどこだっけなぁ?」

「日本には、なんで来たんですか?」

「いやぁ、英語しゃべてたらなぁ!」

 

 

 

おじさんたちから容赦なく日本語で質問を浴びせられている彼らから「ゆいこ、何って言ってるの?」と困った笑顔でせがまれる、というカオスが繰り広げられていた。

 

 

 

 

それから、2件目連れてってやるから、の一言で、私たちは嵐のように店をでて、近くの焼き鳥屋へ連れて行かれた。

 

 

「確かに、確かにな、日本人は英語を勉強しなきゃいけない。でもな、ここは日本だ、お前らぁも日本語勉強しろよなぁ!」

 

「ここの焼き鳥はうまい!おれは横須賀で焼き鳥屋やってんだけど、ここにはどうしても負けるんだよ。」

 

 

この2つをエンドレスにしゃべり続け、おじさんはバシバシ彼らの肩を叩き、すかさず焼き鳥とビールをたのみまくり、少し経つと全額お代を払って、嵐のように帰って行った。

 

 

 

 


静けさを取り戻した私たちはそれから、古いバーに向かった。

 

 

 

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25年強生きてきたのだけれど、数えきれないくらい、「忘れられない景色」がある。

 

 

 

別にたいそうな出来事ではないのだけど、脳裏にやきついているそれらを、ふっと思い出す瞬間が好きだ。

 

 

人々との何気ない会話の断片や表情。


温度、感触、雑多な音、風の柔らかさ、光の眩しさ。


ただ、そこにある、自然の美しさ。


そして、喜怒哀楽どれにも当てはまらない、少しの心の揺れ。


また、喜怒哀楽すべて当てはまってしまうような、ある種の衝撃。

 


そんな、6秒動画のような「忘れられない景色たち」が、頭の中でアーカイブされていく。

 

 

 

平和で平凡で、困り果てるようなこともなく便利で、だからこそ気が遠くなりそうな日常を送る私たちがいま、本当に望んでいることは、そんな「忘れられない景色たち」をずっと見ていたい、蓄積していたい、ただそれだけな気がする。

 

 

 

 

それを自らの手でつくっていけたら、何よりも豊かだなと、思う。

 


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あれ以来、彼らと連絡を取っていないのだけれど、元気にしているかな。

 

 

 

つかの間の日本の旅の中で見た景色たちの中に、赤ちょうちん居酒屋の変なおじさんたちとわたしがいたら、

繰り返されるいつもの日常の中でそれらを、時々思い出していてくれていたら、

 

とてもうれしく思います。

 

 

 


yuico *