( piece of nothing* 005 ) 「好きなこと、やったらいいんだよ」
「好きなこと、やったらいいんだよ」
いろんな人から言われては、「そうだよね」と、隠れて小さなため息を、何度ついたことか。
それなのに、この人の口からでてきた言葉は、どうしてこんなにも、すぅ〜っと染み込んでいくのかな。
朝一番、鎌倉のビーチで、キラキラした小石や貝殻を一生懸命拾っている、彼女の丸くなった背中を見ながら、思う。
「何したらいいんだろう」
「どうすればいいんだろう」
「…あれ、何したいんだっけ」
ぐっと、一歩踏み出したいけれど、なぜかそれができない。
人からのアドバイス、無数のネット上の情報たち、そして自分の気持ち、誰かの気持ち。
わかるようでわからないものたちが、雪だるまみたいに大っきくなっていく。
ムクムクムクムク。
そういう時に必要なのは、ぐっと力をいれて意気込むことじゃないのかもしれない。
きっと悩みって、もっともっと、いらないことに、サヨナラするためにあるのだろう。
yuico *